未来に向けて ー子どもたちへの指導~中学生~小学生~
中学生にはどのようなことを身につけさせるべきか、またその世代に対してはどのような指導者でいるべきか。という質問への解答です。
まず、小学生、中学生、高校生ではそれぞれ違うので、今回の質問の趣旨である中学生について答えようと思います。
また、その中学生の中でも、レベルや環境で違うので、細かくは言及できないため、アバウトな感じでいきます。
【1】メンタル面
1仲良くなる
2練習の意図を説明してあげる
3練習は豊富な種類を、できれば週ごとや毎日変える
4楽しませる
5自主的にも練習させる
【2】技術面
1とにかくボールタッチを磨く
2トラップを上手くさせる
3ボールを使った練習をする
4オープンスキルを育てる
5無駄な練習はしない
6時間を有効に使う
7ドリブル練習に時間を割く
8一人一人に合った練習をする
おおまかに書くとこんな感じですかね。
では詳しく説明していきます。
【1】 メンタル面
この部門では、選手達のモチベーションを上げるための方法です。
モチベーションが上がれば、練習への取り組み姿勢も違いますし、自主的な練習にも発展します。
なんだかんだ上手くなるためには、本人のモチベーション、やる気、向上心が一番大切ですから。
1仲良くなる
メンタル面(教える側)ではこれが一番重要なんじゃないですかね。
モチベーションアップに繋がりますし、きちんと言うことを聞いてくれるようになれば、効率よく上手くなれます。
2練習の意図を説明してあげる
勿論、簡単な練習には要りません。
なぜこの練習をするのか、どうやったらもっと上手くなるのかを最初に説明するとともに、あまりできていないなら口酸っぱく言いましょう。
意図を説明してあげることで、練習の効果は大きく違います。
3練習は豊富な種類を、できれば週ごとや毎日変える
飽きさせないための方法です。
また、微妙な変化でも上手くなり方は違うし、どんどんレベルアップさせていくのがべストでしょう。
4楽しませる
練習が楽しければやる気もアップします。
何気ない練習にちょっとした工夫を入れるだけでも良いと思います。
例えば、シュート練習なら的を用意して○回当てたら次の練習、とかです。
サッカーテニスとか、遊びに割り切った練習もちょいちょい挟んで良いと思います。
5自主的にも練習させる
ドリブル練習とかリフティングとか、家でできることはいっぱいあります。
上手くコントロールしてやらせたり、時には宿題を出してみたり。テストを予告したり。
特に、コーンドリブルは自主的に毎日やったら、レベルアップの仕方が全く違います。
一日10分とかで良いので、毎日自主的に家とかでやってもらうことが一番良いと思います。
上手く言いくるめましょう。
【2】 技術面
ゴールデンエイジですから、とにかくボールタッチを磨くことが一番重要でしょうね。
また、今の日本の指導は無駄な練習、効率の悪い練習が多すぎるので、そこに気をつけましょう。
その指導者や場所にもよりますが、既成の練習は役に立たないものが多すぎます。
1とにかくボールタッチを磨く
2トラップを上手くさせる
あらゆる練習に、全ての練習にボールタッチを磨くことを念頭においた練習を考えましょう。
この時期が一番ボールタッチが上手くなる時期ですし、この時期でその選手のボールタッチは決まると言っても過言ではありません。
ボールタッチを磨けば、自ずとパス、ドリブル、シュートは勝手に上手くなります。
特に、逆足を多く使わせること、色んな場所でタッチさせること(インサイド、アウトサイド、足裏など)が重要です。
逆足は子供のころ如何に練習したかで決まります。大人になったらもう遅いです。中学生でも若干遅いのですが。
また、勝手にやらせてたらほとんど同じ場所でしかタッチしません。意図的に色んな場所でタッチさせましょう。
例えば、コーンドリブルでインサイドのみ、アウトサイドのみ、足裏のみでドリブルさせる、等はかなり有効です。毎日やっても良いくらいです。また、前述のように家でも毎日やらせたらかなり効果的です。
これなら、ドリブルも上手くなるし、ボールタッチも上手くなります。間違っても、ボールタッチのみの練習は辞めましょう(一人ひとりがボールをその場で触るやつ。)。効率的ではないし、大して効果がありません。家での自主連なら良いと思います。
また、サッカーの練習はパス、ドリブル、シュートの3つと言われますが、その全てのプレーにおいて重要になってくる、根本となってくるのがトラップです。
パスの練習、ドリブルの練習、シュートの練習において、できるだけトラップの要素を取り入れましょう。
例えば、パスなら絶対に左足でトラップして右足で出させる(逆も)とかです。
最初のうちはトラップを意識させて練習させましょう。(ボールを置く位置や、できるだけ早く出させる。)
シュート練習ならパスをトラップしてからシュート、とかです。
3ボールを使った練習をする
ボールタッチを磨くためです。
例えば、走りこみやダッシュ等のフィジカル面を鍛えるのは、別にボールを使ってでもできます。
とにかくボールを使いましょう。
また、フィジカルはある程度は高校に行ってからで良いと思います。
この時期はテクニックです。フィジカルは後で伸びます。
4オープンスキルを育てる
5無駄な練習はしない
日本3大害悪練習が、壁パス、リフティング、ポストからのシュート練習です。
○壁パス
想像してみてください。試合中、「真正面からパスを受け」、「真正面にトラップし」、「真正面にそのまま返す」、こんな状況が果たしてあるでしょうか。
あってもせいぜい一回。ほとんどそんなシチュエーションはありません。
なんて無駄な練習でしょうか。
試合中に一切使わないテクニックを磨いて何になるのでしょうか。
また、「真正面」にトラップする、そのまま「真正面」に返すというのが最悪です。
そんなの簡単すぎて、何も上手くなりません。
基本的なパスができないので指導のため、アップのため、なら話は別ですが、それ以外でやる理由はないし、やってはいけないし、時間の無駄です。
列になってのパスはさらに論外です。
ただでさえ意味がない練習なのに、さらに一人ひとりの時間を削って何の意味があるのでしょうか。
日本人はクローズドスキルはあるが、オープンスキルがないと言われるのは、主にこの練習が原因だと思います。
試合中トラップは様々な方向に、様々な場所に、様々な体勢でします。
オープンスキルがある選手と言うのは、トラップと判断の良さ・早さから来ています。
どんな位置でもトラップができるから動きながら貰えて、どんな方向にでもトラップできるからすぐにパスができ、どんな足の場所・体勢でもパスを出せるから瞬時にパスが出せます。
日本人はトラップが綺麗すぎる(インサイドのみ、真正面にのみトラップする。)から次の動作へいくのが遅いし、動きながらも貰えません。
そりゃそうです。トラップの練習を真正面で、しかもインサイドでしかやらないのですから。
「全方位トラップ」「全方位パス」で有名な選手と言えばロシツキーやトッティ等でしょうか。あとはアルゼンチンの選手(アタッカー)は大体そうですね。
彼らはどこにでもトラップできるし、どこでもトラップできるし、どこにでもパスを出せる(アウトサイドやヒールやインフロントやアウトフロントが上手いから。)から、動きながらも自然に貰えるし、狭いところでも貰えるのです。
対して、日本人はトラップが上手くなく(インサイドでしかトラップできない、動きながらトラップできないから。)、パスもすぐに出せない(トラップが上手くない、インサイドでしか蹴れないから。)ため、狭いところで貰えないし、動きながらも貰えないし、判断も遅いのです。
要は、様々な足の場所で、様々な方向にトラップ・パスできる技術を育てましょう、壁パスは絶対に駄目、ということです。
せめて、三角パスにしましょう。
長いパスだけは二人でも良いですが。
あとは、とりかごをやるなら少人数で、なおかつロンドのほうが良い、って感じですかね。
○リフティング
家でやれば良い。時間の無駄。
また、リフティングをしてもそこまでは上手くならない。時間の無駄。小さい子供でリフティングが全然できないなら意味はあります。
○ポストからのシュート練習。
想像してみてください。
縦にパスを出し、それを前の人が落とし、走りこんでそれをシュート。
このシチュエーションは試合中にあるでしょうか。
あっても(ry
1.そんな状況試合中にほとんどない。
2.ミドルの練習(遠い、キーパーは取りやすい、時間がたっぷりある。)ばかりしたら悪い癖がつく。
3.一人ひとりの待ち時間が長い。
まず、待ち時間が長すぎて非効率です。
また、「走りこんで」「遠い位置から」「時間がたっぷりあり」「思いっきり打つ(打たなければいけない)」。最悪です。
「走りこんで」「時間がたっぷりあり」
→試合中は、トラップをしてから打つのが基本です。その要素がありません。また、時間がたっぷりあります。試合中はそんなことありません。
この練習をしていると、綺麗なフォームでしか打てません。
実際の試合だと、綺麗なフォームで打てるチャンスはほとんどありません。
なんて無意味な練習でしょうか。
「綺麗に打つことを練習」するのではなく、「いかに綺麗に打てるように持ち込めるか」を練習しましょう。(つまりトラップを含めたシュート練習。)
「遠い位置から」「思いっきり打つ(打たなければいけない)」→
遠いし、GKはシュートが来ると分かり切っている上にタイミングも完璧(走りこんでダイレで打つため。)なため、取るのは容易いので、打つ人は思いっきり、しかもコースを狙って打たなければいけません。
よって、思いっきり打つフォームでしか打たないし、コースも狙わなければいけないし、ミドルの練習にしかならないし、変なフォーム(日本で正しいとされているシュートフォーム。)が癖としてつきます。
これらの理由により、日本人は大抵ふかすし、シュートモーションが遅いし、狙いすぎるし、綺麗なフォームでないと打てないのです。
無意味な練習どころか、マイナスです。
まず、シュートフォームの指導自体間違っています。
シュートフォームはテキトーで良いから、とにかくインステップでミートすることだけを教えれば問題ありません。
ミートに集中したシュート(振りを細かく、早く)さえできれば、芯に当たりやすいからボールは強く飛ぶし、コントロールも良いし、ミスが少ないし、ふかすことも少ないし、どんな体勢でも打てるし、GKのタイミングはずらせるし、色んな方向に蹴れます。
日本で良しとされているシュートフォームより全てが良いです。デメリットはありません。メリットしかないです。
アルゼンチンでは昔からそういう指導なので、昔からそういう選手がいましたが(バティ、クレスポ、トレゼゲ等)、最近は世界的にもそういうシュートフォームの選手がでてきました。(C.ロナウド、スアレス等)
世界的に得点を量産している選手達のシュートはほとんどがこのやり方です。
フォームはテキトー(画一的じゃない)で、ミートだけに専念し、振りは早く。
メッシとかも得点を量産していた時はこれでした。あとは有名どころだとシェバとかです。
つまり、まずはフォームの指導自体変える。
そして、シュート練習をやるなら色んな状況のシュート練習。トラップを取り入れた練習です。
一番シンプルなのが、片方の組が斜め後ろからパスをし、それを片方の組がトラップしてシュート(エリア内)ですね。
これを様々な場所、様々なパスでやってあげると良いと思います。
試合中に良くある現実的な練習ですし、時間も短縮でき、パスとトラップの練習にもなります。
ついでにGKもより練習になります。ポストからのシュートは取れて当たり前です。何の練習にもなりません。
シュートにすぐに移行できるトラップを意識させること、すぐに打つこと、ミートをしっかりさせること、効率的に早く行える工夫をすることが重要ですかね。
6時間を有効に使う
どの練習でもそうです。
待ち時間をとにかく減らしましょう。
できるだけボールに触る時間を長くしましょう。
7ドリブル練習に時間を割く
日本はパスの練習が多すぎます。
個人的には、パス1、ドリブル7、シュート2くらいの割合で良いと思っています。
ドリブル(ボールタッチ)の練習をすれば、トラップも上手くなります。
トラップが上手くなればパスとシュートも上手くなります。
また、ドリブルで持てるようになれば、ドリブルで動かせるからパスもシュートも良くなります(試合中)。
また、ボールタッチが上手くなれば、単純にキック精度も上がります。
さらに、シュートの練習をすれば、キック精度が上がります、つまりパスもある程度上手くなります。
つまり、パスの練習はあまり必要がありません。
必要がないわけではありませんが、ドリブルやシュートの練習のほうが重要だということです。
さらに、ドリブルの練習にシュートも組み込めますから、ドリブルの練習が一番効率が良いということです。
パスは、あまりにも下手だったら(成長しなかったら)集中して強化(度合いによって工夫した練習をする。)すれば良いと思います。
何度も言いますが、ゴールデンエイジです。とにかくボールタッチです。
パスはもっと年齢が上になってからでも伸びます。
まず、パス自体、精度よりも判断です。
あと、パスの練習って大体つまらないし、テキトーに流してやってしまうことが多いです。
三角パス、ロングパス、とりかご(少人数、狭く、色んなルール。)、ロンド、ぐちゃぐちゃパス(コーン置いて、その中で6人くらいで動き回りながらボール2,3個でパス回し。)とかの重要なのを短く集中的にやって、15分くらいで(練習を3時間くらいと仮定するなら)片付ける感じですかね。
ダッシュや、ヘディング練習やボールタッチ練習等の二人ひと組でやるアップがてらの練習と合わせて30分くらいで終わらせるくらいで良いと思います。もっと短くても良いと思いますが。
朝連や昼連があるなら、そこで済ませちゃうのも良いですしね。
勝手にやれるやつですから。
あとは、他の練習にパスの要素を取り入れたり、試合中に矯正すれば問題ないと思います。
パスは実戦でのほうが伸びますし。
8一人一人に合った練習をする
本当に一人ひとりできるならそれが良いのですが、流石に無理でしょうから、何組かに分けてやるのが良いですかね。
レベル、個性、弱点、年齢、ポジションなどで。
分けることで時間も効率的になりますし。DFがシュート練習を必死にやる意味もないですし(コンバートもありますし、基本的な技術向上のためにある程度はやったほうが良いですが。)。
待ち時間ほど無意味なものはないですから。
あとは、一人ひとりじゃなくても、全体を見て、全体的にここが駄目、ってなったらそれをどう改善するかを毎日考えて工夫してメニューを組むと良いと思います。
あとは試合等のたびに自分の良かった点・反省点、チームの良かった点・反省点を書かせて自覚させたり、モチベーションを上げさせて自主的にやらせるとかですね。
けっこうざっくりと書きましたが、こんな感じですかね。
楽しませる、モチベーションを上げる、とにかくボールタッチ重視、時間を効率的に使う、無駄な練習はしない(工夫して効率的に上手くなる練習を考える)。
重要なのはこんなとこじゃないですかね。
あまりレベルが高くない部活を想定して書いたので、もうやってるよ!、だったらすみません。
日本の育成環境って本当に劣悪ですからね。
一部を除いてあまり進化していないですし、元々の基盤が間違えまくってますし。
頑張ってくださいね。
追記
ピリオダイゼーション理論というものがあり、かなりこの考えに近いです。
日本でも一部ではやってますね。本当に一部ですが。
より実戦に近い練習、フィジカル、パス、ドリブル、シュートと練習を分けるのではなく、全部複合してやってしまおうという話ですね。
そうすれば、真のテクニックがつきますし、動きも良くなりますし、何より効率的です。
現在の日本の練習は、試合であまり使えないテクニックしかつきませんし、かなり非効率です。
まだまだ歴史が浅いし、野球の練習法とかの理念も影響してるでしょうしね。野球は止まったプレーしかありませんし、フィジカルがかなり重要ですからね。
実戦に近づけつつ、ボールタッチはなるべく多くして、色んなパターンを練習し、試合であるシチュエーションの全てを網羅(練習の実戦化)できるようにするのが良いですね。
そうすれば体が勝手に動きますし、実戦的なテクニックがつけられます。
パスの練習はあまりやる必要がないと書きましたが、それはドリブルやシュートの練習に組み込めるからです。
あと、試合中や3対2等の練習でパスは指導できますし、その方が上手くなります。
とにかく自分で考える(既存の無駄な練習をしないということ、自分が教えている子どもにあった練習ができるため。)ことが重要です。
最初は難しいとも思うので、なるべく若い指導者(もしくは現役Jリーガー。ベストは海外。)の出しているDVD(本は駄目。映像が良い。)を何個か見て、良いとこ取り、改良をしましょう。
間違っても全部鵜呑みにしてはいけませんし、要らない練習は真似しないで、尚且つ自分の子ども用に改良もしましょう。
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